宮内庁式部職楽部 雅楽2012年欧州公演


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雅楽の楽器

雅楽には「管絃」「舞楽」および「歌謡」の3つの演奏形態があります。管絃は、唐楽を奏する器楽合奏であり、いわゆる「三管両絃三鼓」の楽器編成で奏します。
「三管」とは笙、篳篥、横笛の3種の管楽器を、
「両絃」とは琵琶、箏の2種の絃楽器を、
「三鼓」とは羯鼓、太鼓、鉦鼓の3種の打楽器をいいます。
また雅楽には管絃には用いられない楽器もあります。

笙(しょう)

名称と構造

笙(しょう)笙(しょう)古くは「笙笛(しょうのふえ)」と呼ばれました。直径1.1ミリ前後の17本の細長い竹の管を、吹口のついた頭に円周上に並べて銀製の帯で留めた、独特の形をしています。伝説上の鳥である鳳凰が翼を休めている姿を模したといわれることから、「凰笙(ほうしょう)」とも呼ばれています。

奏法と音色

笙(しょう)17本の竹管のうち、15本には響銅(さはり)という合金でつくった簧(した)(リード)がついており、竹管の下にある小孔を押さえることで、吹いても吸っても音が出ます。右手は親指と人差し指、左手は小指を除いた4 本の指、あわせて6本の指で小孔を押さえます。この特徴を生かして、和音を奏でる楽器として用いられます。この奏法を「合竹(あいたけ)」といいます。朗詠、催馬楽などのときは「一竹(いっちく)」(単音)で演奏します。その他の奏法に、手移(てうつり)、具(ぐす)、打(うつ)、叩(たたく)、移(うつる)、気替(きがえ)、残乍(のこりながら)、次第(しだい)などがあります。

演奏の前と後には、必ず楽器を温めます。これは呼気による水蒸気が楽器の中に溜まらないようにするためで、舞台上で奏者が炭火(火鉢)の上で、全体が均一に温まるように手の中で楽器をくるくる回しながら温めます。昔は炭をおこした火鉢で温めていましたが、現在は炭火を用いることのできない会場での演奏会などでは電熱器が用いられることもあります。

音色は「天の声」を表しているともされ、全体を包み込むような、広がりを感じさせる音色が特徴です。笙の音はまた、合奏の音律の要となるもので、琵琶や箏が調絃をする際には、笙が基準音となります。

笙の分解写真笙の分解写真
笙の分解写真です。17本の竹管を頭(かしら)にはめこみ、帯で留めると出来上がります。頭に付いている吹口が6時方向にくるとすると、写真1番右の千という名の竹管が3時方向となり、以下1番左の比までを、時計回りに配列しています。

篳篥(ひちりき)

名称と構造

篳篥(ひちりき)篳篥(ひちりき)「觱篥」「悲篥」とも書き、また、別名と「風管」「頭管」「茄管(がかん)」ともいいます。竹製に桜皮を巻き、表面に七孔、裏面に二孔のある管に、蘆でつくった舌(ダブルリード)を差し込んで吹きます。上部はやや楕円形に作られ、下部に向かって細くなっています。これはリードを管の上部に差し込んだときに、先端をよい具合に開かせるための工夫です。また、舌は蘆舌(ろぜつ)ともいい、蘆の一端を焼きごてでひしぎ、ダブルリード状にしたもので、もう一端はリング状になっています。そこに和紙を巻き、演奏前にお茶で湿らせることによって、楽器との密着を強めます。舌が開きすぎないように、藤で作った世目(せめ)をはめて吹きます。

奏法と音色

篳篥(ひちりき)左手の親指で裏面の上部の孔を押さえ、左手の人差し指、中指、薬指で表面の孔を上から順に押さえます。右手の親指で裏面の下の孔を押さえ、右手の人差し指、中指、薬指、小指で表面の孔を順に押さえます。正面を向き、両頬に空気をためて膨らませて吹きます。

篳篥は本体が18.5センチ、舌が約6センチ弱という独特のバランスのため、管本体の大きさから想像されるよりはるかに豊かな音量が得られます。音域は約1オクターブと狭いが、吹き方を加減することで、同じ指遣いでも音程を変えることができます。この奏法を「塩梅(えんばい)」といいます。その他の奏法に、ノ(べつ)、由(ゆる)、スル、張(はる)、減(めらす)、押(おす)、下篳篥(したひちりき)などがあります。

合奏では主旋律を担います。
管箱に収められた状態の篳篥管箱に収められた状態の篳篥
篳篥が管箱と呼ばれる容器に収められた状態です。管箱には銅製の白木の箱や、檜扇を閉じたような形の箱に漆を塗り、さらには蒔絵を施したものまでありますが、写真は蒔絵を施した立派なものです。

横笛(よこぶえ)

名称と構造

横笛(よこぶえ)横笛(よこぶえ)横笛には、横笛(おうてき)、高麗笛(こまぶえ)、神楽笛(かぐらぶえ)の三種があります。横笛は主笛(おもぶえ)、龍笛(りゅうてき)とも、または単に笛ともいいます。管絃に用いられるのは、このうち龍笛のみです。

龍笛は主として唐楽を演奏する楽器で、全長約40センチ、直径が尾端で1.2センチです。表皮を剥ぎ取った竹に、桜皮(かば)や籐を細く裂いて紐状にしたものを巻きつけ、漆で固めています。指で押さえる孔は七孔です。

龍笛の奏法

横笛(よこぶえ)歌口に近い三孔を左手の人差し指、中指、薬指で、残り四孔を右手の人差し指、中指、薬指、小指で押さえます。左手は菅の向こう側から、右手は管の向こう側から、右手は管の手前側から持ち、下唇で歌口を半分ほどふさぎ、管の内側・外側の両方に息が出るように吹き込みます。篳篥とは異なり、上半身は正面、下半身は右斜めになるように構えて吹きます。奏法には動(うごく)、由(ゆる)、叩(たたく)、減(めらす)、折(おる)、懸吹(かけぶき)、責(せめ)、和(ふくら)などがあります。

主旋律を担う篳篥に対し、幅の広い音域を生かして主旋律を彩る働きをします。ほとんどの曲は、龍笛の独奏で始まるため、合奏全体のテンポを決める重要な役割を担っているのです。

名手として、村上天皇、堀河天皇、貞保親王の名が挙げられます。

高麗笛と神楽笛
高麗笛は、高麗楽や東遊に用いられます。神楽笛と同じく六孔で、3種の横笛の中で最も短く、最も高い音が出ます。神楽笛は和琴とも神楽に用いられる日本古来の笛です。指で押さえる孔は六孔で、三種の横笛の中で約45センチと最も長く、したがって筒音も最も低いのです。3種の横笛の中で最も高貴な笛とされています。龍笛のように力強い息ではなく、「半息」といって柔らかく奏します。

琵琶(びわ)

名称と構造

琵琶(びわ)琵琶(びわ)「比巴」「枇杷」とも書き、俗琵琶に対し「雅楽琵琶」「楽琵琶」ともいいます。また、三尺五寸であることから「三五」ともいいます。4本の絃と4個の柱(じゅ)を持ち、絃を響かせる胴、音の高さを決める柱をつける鹿頸(しかくび)、絃を調絃する転手のある半手(はんじゅ)の三部分から成ります。頸はほぼ直角に曲がっています。

木製であるが、1種類の木で作られているのではなく、部分により紫檀、桑、沢栗(さわぐり)、桜などが用いられています。撥(ばち)は柘植、柱は檜。撥が当たる撥面には革が張られています。

奏法

琵琶(びわ)水平に構え、撥で弾きます。低い音の出る太い絃から高い音のでる細い絃に向かって複数の絃を鳴らすアルペジオ奏法が基本で、下から半円を描くようにゆっくりと撥を上げ、一気に引きおろして弾く掻撥(かくばち)、二絃ずつ鳴らす割撥(わりばち)、高い絃から低い絃に向かって弾く返撥(かえしばち)、柱を押さえて隣の絃を同じ音にして弾く掻洗(かきすかす)などの奏法のほかに、叩(たたく)、弛(はずす)などがあります。

弾いているときと調絃するとき以外は、覆手(ふくじゅ)の中にあけられた陰月(いんげつ)というスペースに撥をしまっておきます。調絃の際は撥を覆手からとって脇に置いておき、調絃がすむと、撥を覆手の内側に戻します。この行為が、他の奏者にとって、琵琶の調絃がすんだという合図になります。

箏(こと)

名称と構造

箏(こと)箏(こと)雅楽に用いられる箏であることから、「俗箏」に対して、「楽箏」と称されることもあります。また、「仁智(じんち)」ともいいます。

縦に長い形をしていますが、その形は龍の臥せた姿に見立てられ、両端が龍額と龍尾と名付けられています。絃は13絃で、向こうから手前に順に一二三四五六七八九十斗為布(といきん)と呼びます。各絃と胴の間に「柱(じ)」を挟み込んで調絃します。絃は黄色く着色した絹糸です。桐製の胴の中は空洞になっており、底面の両端近くに「龍呴」(りゅうく)(音穴(いんけつ))と呼ばれる二つの共鳴穴があいています。寸法は一定していませんが、京都御所で用いられていた官物の箏「遠雁」は全長は約189センチ、横幅24~25センチです。近世の箏はこの寸法を模して作られることが多いです。

奏法

箏(こと)右手の親指・人差し指・中指に竹の爪をはめて演奏します。爪は細く裂いた煤竹(すすたけ)に、鹿などの動物の革を巻いて作ります。

右に龍額、左に龍尾となるように置き、楽座(胡坐)して弾きます。爪をはめていない左手は柱の左側の絃の上に置き、爪をはめた右手は人差し指、中指、親指の順で弾きます。奏法は大別して二種類に分かれ、軽快な感じの「早掻(はやがき)」と、ゆったりした感じの「閑掻(しずがき)」があり、曲調によって使い分けています。

演奏中、弾くことを休止しているとき、右手は「鶏足(けいそく)」という形を取ります。これは人差し指と中指の先を親指につけて輪を作り、薬指と小指は絃に対して垂直に延ばしたもので、箏を弾く上で重要な作法となっています。

鞨鼓(かっこ)

名称と構造

鞨鼓(かっこ)鞨鼓(かっこ)「羯鼓」と書く場合もありますが、雅楽では「鞨鼓」の字を用います。ごくわずか中央部分が膨らんだ円筒形の胴の両側に、馬革を張って胡粉を塗った鼓面を置き、その鼓面同士を革紐で締め上げています。胴は樫、桜などの硬い木で作られており、長さは約30センチ、直径15センチです。胴には牡丹の花が描かれることが多いです。鼓面は直径約24センチですが、叩ける部分は直径約7~8センチほど。演奏者は位置の都合上、鼓面を直接見られません。熟練を要する楽器です。

奏法

鞨鼓(かっこ)鞨鼓を演奏することを「掻く(かく)」といいます。細長い2本の桴を左右に持ち、横から円を描くように掻きます。鞨鼓の基本的奏法8種類あり、「鞨鼓八声」として奈良時代の光仁天皇の時代に定められていたが「来(らい)」という、次第に速くなるトレモロ奏法が主な奏法で、片手で行う「片来(かたらい)」と、両手で行う「諸来(もろらい)」があります。また、「正」という奏法もあり、これら3つを組み合わせてさまざまに演奏します。

合奏の際において果たす役割は重大で、全体の流れを司っています。管絃においては、鞨鼓奏者が台にさしてある桴を構えると、曲を始める合図となり、舞楽の終わりも、鞨鼓がそれまでとは違う拍子を提示することで演奏が終結へと向かいます。楽部の演奏では、楽師が着座して演奏を始める前と、演奏終了後の2回、鞨鼓奏者のみが礼をします。長老が担当する指揮者的な役割を担う楽器です。

太鼓(たいこ)

名称と構造

太鼓(たいこ)太鼓(たいこ)正式な舞楽に用いられる巨大な「大太鼓(だだいこ)」と、管絃や小規模な舞楽に用いられる「釣太鼓(つりだいこ)」、野外の道行の際に用いられる「荷太鼓(になだいこ)」があります。釣太鼓は「楽太鼓」とも呼びます。

大太鼓は太鼓を囲むように巨大な火焔形の装飾があるため、「火焔太鼓」とも呼ばれます。火炎の上方中央からは1本の棹が伸びており、舞台に向かって左側(下手)の大太鼓には太陽を表す装飾が、向かって右側(上手)の大太鼓には月を表す装飾があります。直径約127センチ、厚さ約100センチの胴の両側に直径約191センチの鉄輪を置いて革を張り、その一対の革同士を紐で締め上げています。架台から棹の先の装飾までの高さは約6メートルです。

釣太鼓は、直径約50センチ、厚さ約15~20センチの胴の両面に革を張り、4つの足のついた円形の枠に吊るしています。枠の両側には金属製の輪がついており、演奏しないときは、桴をここにかけておきます。

奏法

太鼓(たいこ)大太鼓、釣太鼓ともに桴を両手に持って打ちます。左の桴を「図(ずん)」、右の桴を「百(どう)」といい、左桴を先に、次に右桴を打つ合桴が基本の奏法です。左の桴は右の桴よりも少し弱めに打ちます。大太鼓は立って、釣太鼓は座して打ちます。管絃の合奏の際には舞台最前の中央に座します。

大太鼓(だだいこ)
大太鼓(だだいこ)舞楽に用いられる太鼓で、舞台の左右両端に一対で並べられます。左側は龍、太陽、金色、右側は鳳凰、月、銀色でデザインされ、前者は陽・奇数、後者は陰・偶数を象徴します。舞楽では左舞と、右舞が交互に舞われますが、左右の大太鼓はおのお
のの舞が象徴する世界を図像として表現しています。
直径は2メートル前後もあります。写真は左方の大太鼓です。

鉦鼓(しょうこ)

名称と構造

鉦鼓(しょうこ)鉦鼓(しょうこ)金属製の打楽器です。舞楽に用いる鉦鼓を大鉦鼓(だいしょうこ)、管絃に用いる小型の鉦鼓を釣鉦鼓(つりしょうこ)、携帯用のものを荷鉦鼓(にないしょうこ)と呼びます。一般的に鉦鼓といえば、釣鉦鼓のことです。釣鉦鼓は、木製の枠に三方から紐で吊るした鉦(かね)(皿状の金属板)の凹面を2本の桴で打ちます。青銅製で、鉦の直径は約15センチです。対して大太鼓と荷鉦鼓は真鍮製が多いです。大鉦鼓の直径は『楽家録』によると約36センチ(楽部のものは24センチ)、荷鉦鼓は『楽家録』によれば約24センチ(楽部のものは21センチ)です。大鉦鼓には、鉦を囲むように大きな火焔形の装飾があります。釣鉦鼓にも枠の上部中央に火焔を表す装飾があります。鉦鼓の使用が確認されるのは平安時代になってからで、奈良時代の文献には見当たりません。

奏法

大太鼓、釣鉦鼓とも桴の下端を両手で持つが、両手は離さず、親指の付け根あたりでつけておきます。鉦鼓は「打つ」とはいわず、「摺る(する)」といい、演奏する際はゆっくりと持ち上げた桴を鉦の中央に落とし、そのまま摺るように鉦の下端まで滑らせて止めます。両手で摺る場合は、必ず左桴を一瞬早く摺ります。大鉦鼓は立って、釣鉦鼓は座して演奏します。

合奏において鉦鼓は太鼓や鞨鼓の音色を、その金属特有の高い音色で装飾する役割があります。そのため、太鼓に付随して打たれることが多く、太鼓にわずかに遅れて打ちます。

三ノ鼓(さんのつづみ)

名称と構造

三ノ鼓(さんのつづみ)三ノ鼓(さんのつづみ)三ノ鼓は壱ノ鼓から三ノ鼓まである腰鼓(首から紐で吊り下げ腰の高さに鼓面がくる太鼓)の一種です。杵のようにくびれた胴を持つ、枠つきの締め太鼓です。これらは推古天皇の御代に伝えられたとされますが、そのうち演奏に使用されるのは三ノ鼓だけとなり、演奏法も腰に下げず下に置くように変わりました。古くは「三鼓」と書きましたが、鞨鼓、太鼓、鉦鼓の3つを指す「三鼓」との混同を避けるために、最近では「ノ」を入れて「三ノ鼓」と書くことが多いです。『楽家録』によれば、革の径は42.4センチ、胴長45.5センチ、胴の口径21.8センチほどであります。

奈良時代には唐楽に用いられ、奏法も右は桴、左手は素手で打つものでありましたが、平安中期に高麗楽、伎楽にも用いられるようになり、鎌倉時代にはほぼ高麗楽のみの楽器となりました。現代は高麗楽と右方の『陪臚』『還城楽』『抜頭』、および右方舞終了後の『長慶子』(退出音声として)に用いられています。

奏法

左手は調緒(しらべお)(鼓面を結んでいる紐)を按じるのみで右手の桴で打ちます。

笏拍子(しゃくびょうし)

名称と構造

笏拍子(しゃくびょうし)笏拍子(しゃくびょうし)和琴とともに日本古来の楽器とされており、束帯装束の際に手に持つ「笏」を2つに割った形をしています。通常、長さ約35~36センチ、幅は上部が3.5センチ,下部が2.5センチです。黄楊製が多いですが、桜や梅、櫟や枇杷などで作られることもあります。神楽、東遊、大歌、久米歌などの儀式音楽や催馬楽などで歌いながら打ちます。朗詠には用いられません。

奏法

笏拍子(しゃくびょうし)左手は切り口を手前に向け、右手は切り口を左にして、幅の狭いほうを手に持ちます。下部は両手をつけたまま、上部のみを開いて打ち合わせます。

和琴とともに日本古来の楽器のひとつとされており、手に持つ笏をイメージして作られたといいます。

和琴(わごん)

名称と構造

和琴(わごん)和琴(わごん)わが国固有の儀式に用いる絃楽器で、倭琴と書く場合もあるほか、大和琴、東琴、6つの緒など多くの別称を持ちます。

細長い形をしていますが、頭部から尾にかけて広がっています。箏と同じく桐でできており、尾部には5か所の細い切れ込みがあり、絹の縒紐(よりひも)でできた「葦津緒(あしづお)」(絃を巻く緒)が装飾を兼ねてからげてあります。裏板には頭部に「音穴(おんけつ)」、中央部に「下樋(したび)」という2つの共鳴穴があります。絃は六絃で、手前から一二三四五六と呼びます。絃は絹糸でできており、絃と胴の間にはさみこんで調絃の役割を担う柱(ことじ)には、二股の楓の枝を皮付きのまま用います。寸法は、官物の「河霧」の場合、全長は約194センチほどで頭部が約16センチ,尾部が約24センチ、尾部の切れ込みは4.5センチです。

奏法

和琴(わごん)箏とは異なり、爪を使用せず、その代わりに琴軋(ことざき)という、長さ約8センチほどの鼈甲製のピックを右手に持って弾きます。六絃から一絃に向かうアルペジオを『順掻(じゅんがき)』、その逆を『逆掻(ぎゃくがき)』といいます。順掻・逆掻ともに弾いた後、左手指で余韻を消し、特定の音の余韻を響かせるのが和琴の特徴的な弾き方です。

順掻で第三絃を残して音を止める「三(ざん)」、逆掻で第四絃を残して音を止める「四(じ)」の他、左手の指で二三四五の順で弾きながら指を折っていき、小指のみ伸ばして六から一まで弾く『折(おる)』、右手の琴軋で向こうへ一二三四と弾いていき、左手の薬指と親指で五と二の絃を同時に摘み上げ、次に右手の琴軋で四の絃を跳ね上げるように弾く『摘(つむ)』奏法が基本です。

和琴は日本固有の楽器であったものが奈良期に外来した箏類の影響をこうむって変化し、現在伝わる形に落ち着いたといわれます。全長は約194センチ、横幅は頭部から尾にかけて広がっていき、頭部で約16センチ、尾で約24センチです。絃は絹製です。